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菅野裕臣
第1課 | (第1課から第5課は書きことばを学ぶ) |
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(指定詞上称形 (§52) が中心的な課題) |
本文 | ||
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1. | −? (§52) (§55,§56) 、 (§56) | |
2. | − (§52) | |
3. | (§41) | |
4. | (§41); → 、→ (§53); 否定形 (§32) | |
5. | ||
6. | 否定形 (§32) | |
7. | は + のようにまだ分析しては教えない。 | |
8. | ||
9. | ||
10. | 否定形 (§32) | |
11. | ||
12. | ’ (§48) | |
13. | (§42) | |
14. | ||
15. | → (§53) |
- 1)
- 例文1を教師が読み、そののちコーラスリーディングさせる。その際1単語ずつ区切ってゆっくり発音すべきである。1単語ずつの練習を充分やった後で、さらに大きな単位をひとまとめにしてコーラスリーディングをする。
- 2)
- 文法の説明を解説の§を参照しつつ行なう。多くの場合本書を読め ばそのまま納得しうるであろう。
- 3)
- もういちどコーラス・リーディングさせる。
- 4)
- 次に例文2に進み、例文1で行ったように進める。
- 5)
- 本文全体が終わったら、全体的な文法事項のまとめをする。
- 6)
- 例文をはじめから再度コーラス・リーディングさせる。
- 7)
- 個人にあてて例文を読ませる。本文は対話形式になっているから、 学生2名に対話形式で読ませてもよい。
第2課 | (用言現在形上称形 (§57) と用言中止形 (§60) が中心的な課題) |
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注記: 以下新正書法により などはすべて という形に直す.
本文 | |||
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1. | の上称形 .? (§57) (p.284 §57参照) | ||
2. | 用形終止形 (上称) + (§60) の上称形 、?(§57)(p.284§57参照) | ||
3. 4. | 語幹 上称形 のない語幹+(?) (§57) | §59 2) | |
5. 6. | 子音語幹上称形 − (−?) (§57) 引用符 “ ” に関して p.284 第2課 参照 | ||
7. | |||
8. | 否定形 (§58) | ||
9. | 母音語幹上称形 (§57) | ||
10. | - (§61) | ||
11. | -、- (§60) | ||
12. 13. | §59 1) | ||
14. 15. | §59 3) |
【§57 子音語幹用言現在上称形は南北で形が違っている。韓国ではどちらかというと II− 形が標準語形として採用されているが、日常 II− 形も I− 形もともに多く用いられる。 よりも のほうが幾分丁寧という感じ。従って学生になるべく混乱を与えないために、 と の例外を除いて子音語幹の語尾は − と簡単に教えた方がよい。
韓国 北朝鮮 II- I- I- * * − −
* 日常使われないが教科書などにあらわれるもの p.284 §57 参照
注記: 韓国の新しい正書法では II- 形は認められず,I- 形だけが認められることにより,韓国と北朝鮮との違いはこの点に関する限りなくなったと言える.】
第3課 | ( 第 I・II 語基 (§62)、意志=推量形 -- (§63) が中心的な課題) |
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本文 | は [] と発音すると教える。 | |||||||||||||||||||
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1. | ? は未来 (§59、3) [しかしあいての意志を含む] | |||||||||||||||||||
2. | の発音については§33 参照
「〜すれば」という意味。その段階では 語基 に触れない。 | |||||||||||||||||||
3. | ... V |
§60 参照 V は§39 ・・・ は§42参照 §60参照 は分析しない。 | ||||||||||||||||||
5. | 3人称、推量 §63参照 -- は語調を和らげる働きがある | |||||||||||||||||||
- が子音語幹につく時は -- が入り込むと教える。 [まだ 語基 にはふれない] | ||||||||||||||||||||
- は cf.65 | ||||||||||||||||||||
6. | 語幹は - をいきなり付け、--を挿入しないことを教える。 母音語幹と 語幹はいろいろな点で似ていることを再確認させる。
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話し手の意志 §63 参照 | ||||||||||||||||||||
7. | 文法の説明は一切しない。 | |||||||||||||||||||
8. | 話し手の意志 §63 参照 | |||||||||||||||||||
[pwe:pkes:mnida] | を入れて発音する。 |
本文の説明が終わった後次の説明にはいる。
付記: わたくしはこれを今では [pwe:pkessmnida] と解釈している.
「意思=推量形 --」 という名づけは この形の意味を的確に表していないかも知れない.単なる 「推量」 ではなく 「ある条件のもとでほぼ確実に起こるだろうという推量」 を表す (例えばこの空模様からして多分雨が降るだろう).わたくしが後に 「蓋然性」 と名づけた所以である.
【1. の ? は韓国人の意識ではおかしいという人が多い。? でないとおかしいというわけである。これはもちろん一理あるのだが、この段階ではまだ尊敬の接尾辞 -- を出すことが出来ない。-- は語基を教えないと出せないし、ここでは語基をまず教えて、第4課で -- を教えるつもりである。p.80 の下から3行目に 親しい人を誘います としたゆえんである。】
§62 | 少し難しいが、次のことがらは学生達に教える。 |
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例えば日本語の5段活用動詞は次のように解釈される。すなわち国文法で 動詞 というのは動詞の 語幹 であり、国文法の 助詞・助動詞 は動詞の 語尾 である。「書く」 の 「か」 を 国文法では 語幹 と呼び、「か、き、く、け、こ」 を 語尾 と呼んでいるが、これはナンセンスである (かなでは形態素の分析は出来ない!!!)。
語根 √kak 第1語基 kak-a -nai, -reru, -seru 第2語基 kak-i -, -masu, -nagara ( 〃 ) ka-i -ta, te, -tari 第3語基 kak-u -, -to, -ga, -keredo, -kara, -si 第4語基 kak-e -, -ba 第5語基 kak- - 語幹 語尾
朝鮮語には語基は3つしかない。母音語幹、語幹は 第1語基と第2語基とは同形である。子音語幹の第2語基は 第1語基に 語基形成母音 −− をつけて作られる。すなわち第1語基は語根そのものである (すなわち語基形成母音ゼロ。日本語はその開音節的性格のゆえか、語基形成母音をともなってのみ語幹が出来るという点で、朝鮮語とは異なる)。
母音語幹 語幹 子音語幹 第1語基 − − 〜 − − 第2語基 −− 第3語基 − −− 語根 √ √ √
日本語の5段活用は いわば朝鮮語の子音語幹に対応する。日本語の1段活用 (上1段活用 √mi (見る)、下1段活用 √de (出る)) は朝鮮語の母音語幹に対応する。
I− −、−、−、−、−、−? II− −、−? I・II− − 語幹の のない形− II−、 II−?、 I・II−
§63 [韓国の学者が prefinal ending (先語末語尾) と呼ぶものをここでは文法的接尾辞と呼ぶことにする] 朝鮮語の語幹は次のように文法的接尾辞によって拡大されることになる。
語根 root корень 語幹 stem основа 語尾 ending окончание 語基 theme ( < ) (тема) 語基形成母音 thematic vowel тематический гласный
基本語幹 意志・推量語幹 第 I 語基
-
- - 第 II 語基
- -
- - - 第 III 語基
- -
- - -
(子音語幹扱い)
p.284 §63参照
練習 | §25、§44 ( から まで) の用言終止形を 意志・推量形に直させる。その際次の順序に直させたらよい。 |
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.注記: 新しい正書法に伴う標準語の改訂で は と直された.
→ .
→ .
第4課 | (尊敬形 (§66、§67) が中心的な課題) |
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本文 | 1. | ? | §66参照 | ||
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2. | ? | §66参照 | |||
4. | ? | §66参照 §69参照 | |||
6. | ? | §68参照 | |||
8. | はまだ分析してはいけない。 | ||||
? | §66参照 − の の消滅に注意 | ||||
9. | . | §70参照 | |||
? | §66 最後の部分参照 | ||||
10. | . | §63参照 (語調の柔らかさ) | |||
. | §67参照 | ||||
11. | . | §63参照 (話し手の意図) | |||
12. | . | 文法の説明はまだしてはならない。 | |||
. | §63参照 (話し手の意思) | ||||
§67参照 | 12の文は留学生→先生。 | ||||
13. | 13の文は先生→留学生 |
10の と12の | ||||
− | これについては§66参照 | |||
− |
【 §66 尊敬語幹は母音語幹扱いになる。すなわち母音語幹、子音語幹の違いは 語幹の末音が母音か子音かの違いであって、語根のそれの違いではない。
基本語幹 尊敬語幹 第 I 語基 - --- 第 II 語基 -- 第 III 語基 -- ---
ただし
ただし
】
第5課 | (過去形と第 III 語基 (§71) が中心的な課題) |
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このように似たような母音どうしが並ぶ現象を 母音調和 (vowel harmony あるいは vocalic harmony) と呼び、かつては日本語にもあった。 cf. tkr (所)、takara (宝)。これは 発音の経済 という原則に基づくものである。
第 I 語基 第 III 語基 語幹の母音が 陽母音 (、) 語幹の母音が 陰母音 (,,) ** *この課には出てないが、
説明の際補ってよい**第4課の 12. で既出
【 過去語幹 第 III 語基は常に --である(子音語幹扱い)】
基本語幹 過去語幹 第 I 語基 - 〜 - -- 第 II 語基 --- 第 III 語基 -- ---
ただし
ただし
本文 | 1. | ||
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2. | . | §74 参照 | |
3. | ? | §71、2) | |
+ → | |||
-+-- → | |||
これにならって | |||
-+- → - | |||
-+-- → - | |||
-+-- → p.284. §71 参照 | |||
§71、1) 参照 | |||
+ → | |||
+-- → | |||
’ | §43 参照 | ||
4. | V | Vは §39 参照。 ただし一語一語区切って読むときはリエゾンは現れない。 | |
. | 速い速度では [] というようになることに注意。 | ||
(この 『手引』 (1) §31 【 】 内を参照) | |||
. | §71 (p90下から7行目以降参照) | ||
語幹の第 III 語基では語根の長母音は短母音化する。 | |||
[] | 副詞形 - の発音は 、、、、母音の後で [i] ([hi] と発音する人がいるがこれは literary reading. 第4課 12、13の [] 参照) | ||
_ | _ | ||
. | は どの語基でも語根の長母音は保たれる。(p.90、 下から7行目以降参照) 付記: ただし語根 が常に長母音であることを 現在教える必要はない. | ||
5. | . | §71、1) 参照。動詞 は -/- を支配する。 | |
- + - → -(同じ母音の省略) | |||
- + -- → | |||
. | §73参照 | ||
を語幹末音とする母音語幹のうち だけが変格用言である。変格用言とはいわば不規則用言と考えてよい。日本語の 「する」 (サ行変格用言)、「来る」 (カ行変格用言) も基本的に同じ。 | |||
6. | §72参照。韓国の学者の中にはこのパターンの用言を 変格と呼ぶものもいる。 | ||
. | |||
- → - → - → | |||
- → - - → | |||
§71 2) 参照 また p.91. 1行、2行参照 | |||
7. | §71 2) 参照 ただし = [] | ||
§71 2) 参照 | |||
8. | §71 2) 参照 p.284 §71参照 | ||
9. | §63 参照 (話し手の意思) |
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1. ? 2. . 3. ’? 4. . 5. ’? 6. . 7. ’ ? 8. 、 ’ . 9. ’? 10. ’. 11. ? 12. 、 .
注記: 新正書法では は分かち書きする.
1. §75 3)参照 §75 1)参照 (最終行) 2. [] §75 5)参照 3. [] §75 5)参照 ’については§43参照 ? §75 1).2)参照 4. §75 1).2)参照 or ’ 5. §75 1)参照 6. §75 1).2)参照 7. §75 1)参照 8. §75 1).2)参照 9. §75 6)参照 10. ’ §75 1).2)参照 11. §75 4)参照 §75 3)参照 12. §75 3).4)参照
1) における東京方言形は卑俗な感じがする。2) の 「書くんだ」 はそれほど卑俗性は感じられない。ソウル方言形はすこしも卑俗な感じがしないだけでなく、ラジオ・テレビのアナウンサーでも、ニュースの朗読ではなく、司会とか対談ではソウル方言形を用いる。従って 朝鮮語の書きことば / 話しことばの違いは 日本語のそれとは異なる。
標準語 東京方言 1) 書いている 書いてる 書いてしまう 書いちまう、書いちゃう 2) 書くのだ 書くんだ
5)人によっては次のような発音をする人がいる。また [] (バスの到着の発音)
[] [] []
これらの発音はソウル郊外 (高陽郡 etc.) では、すこし変わってくる。
書きことばと 話しことばと 違いのないものもあるから注意を要する。
(書・下称) (書・上称) (話・上称) . → . → .
. → . (書・話)以下注意すべき点を記しておく。
§13. → → → → → → → → → §25. → (あるいは ) → 付記: 新しい正書法では は となる. → → §31 → → → → → → → ’ [] → [] §40 → ’ ’ → ’ → ’ → ’
第1課 (13、14、15 は (書)、(話) 同形) 1. ? → ? 5. ? → ? 7. → → 9. ? → ’? ? → ? 11. ? → ? 12. →
本文を ?、 ? のように書きことば − 話しことばの順序にコーラス・リーディングしたあと、学生に本文を見ながら話しことばに直しつつ読ませる。
第2課 (2、4、5、6、7、8、9、10、11 の第2行、第3行、12、13、14、は (書)、(話) 同形) 1. → → 3. → 11. → → ( or ) 15. →
第7課 | 第6課からの継続 |
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用言否定形
1. ? 2. . 3. ? 4. 6. . .(1) 7. ? 8. . . 9. ? 10. . V.(2) V (3) 11. ? 12. 13. ? 14. . (4) .
短い形 長い形 書きことば 話しことば 書きことば 話しことば (1) (2) V (左と同じ) (左と同じ) (3) V (左と同じ) (4) (左と同じ) (左と同じ)
1. * とは言わない。 ? §76 6) 参照 2. * とは言わない。cf. → . §76 6) 参照 3. §76 2) 参照. §63参照 (聞き手の意志)、§79参照 4. §76 4) 参照. §63 参照 (話し手の意思) 5. §76 4) 参照、また もありうる。§75 4) 参照. §76 1) 参照 6. §76 7) 参照 §77 参照 ( p.100 長い形・短い形、p.101 §77の最後から2行め) §78 参照 7. − §76 4)参照 §76 1) 参照 ? §76 5) 参照 8. §78 参照 9. §76 1) 参照 ? §76 5) 参照。接尾辞 -- は 過去形につく時は 推量の意味を持つ (〜しただろう)。(意思の意味は持ちえない。) §79 参照 10. V §77参照 ( p.100、p.101 リエーゾン)、§78参照 主体の意思による不実行、客観的理由による不実行 V 11. §76 3) 参照 ? は ? ともいえる。 13. ? §76 5) 参照 §79参照 14. §75 4) 参照 §77 参照
→ →(書) → (話) → 、 → → (or ) → →
否定形 短い形 下称形 上称形 − − V V − − − − −
第3課 (1、3、6、8 は (書)、(話) 同形) 2. → → は新出だが教える → 3. → (or ) 4. → 5. → 7. →
第4課 (1、2、3、5、8、9、10、11、13 は (書)、(話) 同形) 4. → 6. ? → ? 7. → () 9. → − 12. →
第5課 (これは手紙文だが、話しことばに直せるところはできるだけなおしてみる。) 2. → (or ) 3. → (or ) → 4. → → 5. → (or ) → 6. → 7. → → → 8. → →
第2課 8. → V 10. → 11. → V 13. →
第3課 2. → ? → ?
(これも教える。短くしなくともよい)5. → ? は反語なので短くしない。
第4課 9. ? は 依頼なので短くしない。
§81 | +、、 | + | 、、 | |
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↓ | ↓ | ↓ | ||
↓ | ||||
→ [] → [] → []
【 281ページ 文法の整理と練習 (6〜8) 参照。
話しことば形はこれで終わったわけではない。変格用言と関連してまだ述べるべきことがある。
また次のような話しことば形は あまりにくずれすぎているから、そこまで教える必要はないと判断して §183 に譲った。
書きことば 話しことば -/- -/- - - -/- I- I- 】