資料16
『水中歌』物語本の表紙


出典:『nq主簿傳』世昌書館、1961

資料17
文献に残っているその他の物語

 以下は文献に記載されていますが、現在パンソリの台本として伝わっていないものです。あら筋を簡単にご紹介します。
 ■裴裨將伝(ペビジャンジョン)
 決して女遊びしないという噂のある裴裨將が、金府使に伴って済州島に裨將として赴任しました。皆が花見に行って騒いでいる時も、彼は亭の後ろに1人でいます。すると、そこに妓生の愛娘が素裸で水浴びしているのを見つけます。そこで彼は仮病をよそおい、皆が帰ったあともそこに残ります。そして彼女の家に行き、自分も彼女とともに裸になっていると、彼女の夫が帰ってきてしまいます。あわてた裴裨將は隠れ場所として米びつに入れらます。彼女たちは米びつを海に浮かべたふりをして、中の裴裨將に「助かりたかったら、目をつぶって泳いで行きなさい」と命令します。裴裨將が必死に泳ぐまねしてふと気がつくと、彼は衆人の目の前で裸で這っていました。すべては最初から謹厳ぶっている彼をからかう目的で仕組まれたことだったのです。
 ■横負歌(ヘンブガ、またはピョンガンセタリョン、またはカルチギタリョン)
 ピョンガンセとオンニョが開城近くの青石関で会い、智異山に隠れて住み、淫らな暮らしをして過ごしています。ある日、ビョンガンセは薪取りに行き、道端にあるチャンスン(村の入り口にある木や石でできた神像)を引き抜いてきます。チャンスン達は水原近くに集まり、彼をこらしめることにし、彼にあらゆる病気をうつして殺してしまいます。死体の始末に困ったオンニョが道端で「死体を片付けてくれた者と一緒に暮らします」と言うと、僧や大道芸人などがやってきますが、死体に手を触れると、皆くっついて離れなくなる苦痛を味わうことになります。

資料18
パンソリの歌い手と鼓手


出典:申在孝(姜漢永・田中明訳注)『パンソリ―春香歌・沈睛歌ほか』平凡社(東洋文庫)、1982

注(5) 短歌(タンガ)
パンソリを謡う前に声を整えるために朗詠する時調(シジョ)。時調とは朝鮮の古典詩歌の形式のひとつ。高麗末から李朝時代初期に始まったとみられ、3・4・3・4の音節単位を3個重ねた短歌と呼ばれるものが中心だが、のちにはさらに長く続けた辞説時調も現れた。形式はさほど厳密ではない。主に酒宴の席で歌われ、内容は支配階層の朱子学的理念の基づいたものが多く、男女の愛情を歌ったものは少ない。

金芝河(キム・ジハ/1941〜 )

出典:『作家世界 2号』図書出版世界社、1989(秋号)

資料19
金芝河自身による「五賊」の挿し絵


出典:「五賊」『思想界』思想界社、1970. 5

朴常隆(パク・サンニュン/1940〜 )

出典:朴常隆『朴常隆小説集』民音社、1971

李文求(イ・ムング/1941〜 )

出典:『作家世界 15号』図書出版世界社、1992(冬号)