金時習(キム・シスプ/1435〜93)自画像
出典:鄭nq東『梅月堂金時習研究』民族文化社、1983

崔南善(チェ・ナムソン/1890〜1957)、1947年
出典:趙容萬『六堂崔南善』三中堂、1964

資料8-1
木版和刻本 林羅山『金鰲新話 道春訓點』表紙

寛文13年丑年仲春 福森兵左衛門板行、1673、天理大学所蔵

資料8-2
木版和刻本『金鰲新話』「萬福寺樗浦記」第1頁

出典:林羅山『道春訓點 金鰲新話』寛文13年丑年仲春 福森兵左衛門板行、1673、ハワイ大学所蔵

資料9
『剪燈新話』(中国)と『金鰲新話』(朝鮮)と『伽婢子』(日本)の三者関係
(1) 1421年、中国で『剪燈新話』が出る
(2) 1559年、朝鮮で『剪燈新話』の注釈本として『剪燈新話句解』が出る
(3) 1646年、日本で『剪燈新話句解』の和刻本が出る
●下図の実線は直接翻訳していることを意味し、点線は翻案したと思われる関係を表します。

出典:鄭nq鎬「『金鰲新話』と『伽婢子』における受容の様態」『朝鮮学報 68輯』朝鮮学会、1973. 7

資料10
趙重恒「長恨夢」連載第2回
出典:『毎日申報(1913. 5. 14)』毎日申報社

資料11
本の表紙にも描かれた別れの場面


『長恨夢』ダイジェスト版、世昌書館、1961?

資料12
遊び道具の伝来と受容

 韓国では“花闘(ファトゥ)”と呼ばれるカード遊びをよく見かけます。一見すると日本の花札ですが、それもそのはず、そのものずばり日本の花札です。それが証拠に、小野道風と柳に蛙の札までありますから。以前、韓国の人が日本人に向かって「ファトゥは我が国に昔からある遊びです」と言ったとか。しかし、その昔というのが近代に入る頃だったのはおそらく確かです。だからと言って、韓国の人の誤解を指摘してばかりもいられません。そもそも日本の花札も、西洋のカードを真似てできたものですから。
 それだけではありません。朝鮮にはかなり昔から“闘銭(トゥジョン)”と言って、模様を描いた細長い紙40枚または60枚を使って勝負する博打の道具がありました。つい近頃まで残っていて、小説にもよく登場します。だから花札を受け入れる下地はあったということで、何もないところにいきなり花札を導入したのではないと言えます。また麻雀のパイに似た“骨牌(コルペ)”というものもありました。パイの数は32と多くはありませんが、遊び方は麻雀に似ています。これは中国伝来でしょう。
 また、昔日本でも使われていた樗蒲(ちょぼ、かりうち)は朝鮮語では“ユッ”と言い、現在でも使われています。これは半円形の断面を持った短い4本の棒です。これを投げると、それぞれの棒が円い部分を上にするか下にするかで、表4本、表3本裏1本、表2本裏2本、表1本裏3本、裏4本の5通りの組み合わせがありますので、5つの目を持ったサイコロの役目をします。ユッがあるせいか、韓国ではサイコロを見かけることがありません。ただし、ユッには目の種類が5つしかないこと、それぞれの目の出る割合が同じでないところがサイコロと違います。ところで、断面が六角形の鉛筆を転がすとサイコロの代わりに使えますが、朝鮮では断面が五角形の短い棒を転がしてサイコロのように使う物があります。六角形にせず、わざわざ五角形にしたのはユッを意識したのでしょう。名前も“ユッモク”、すなわち“ユッの棒”の意味です。たかが博打や遊びの道具ですが、それぞれの受け入れ方だけ見ても伝統の存在を感じさせます。

(1) ユッで遊ぶ人々を描いた李朝時代の白潤文の画

(2) 断面が五角形のサイコロ、ユッモク

(3) 麻雀のパイに似た骨牌(コルペ)

(4) 博打の道具、闘銭(トゥジョン)
資料12 出典:『韓国民俗大観 C』高麗大学民俗文化研究所、1982

資料13
『獄中花』の表紙


『獄中花』の本文挿絵
(左頁)春香が拷問を受ける場面
(右頁)新しい郡主が赴任してくる場面

資料13 出典:李海朝『獄中歌』博文書館、1912初版、1929第4版

資料14
桃水野史「鶏林情話 春香傳」のもとになったと言われている木版本
出典:『春香伝』京版30張本(1850〜1860年頃)東京外国語大学所蔵

桃水野史(半井桃水)「鶏林情話 春香傳」連載第1回
出典:『朝日新聞(1882. 6. 25)』朝日新聞社

資料15
日本における『春香伝』の和訳本など関係書(出版年順)


桃水野史(半井桃水)「鶏林情話 春香傳」『朝日新聞』朝日新聞社、1882. 6. 25〜7. 23/23回
高橋亨「韓国の文学 春香傳の梗概」『太陽(12-8)211号』博文館、1906. 6
高橋亨「春香傳」『朝鮮の物語集 附俚言』日韓書房、1910. 9
洪錫謨・今村鞆「廣寒棲記」『通俗朝鮮文庫 第四輯』自由討究社、1921. 5
高橋亨「春香傳」『朝鮮』1921. 4・5/2回(『朝鮮の物語集 附俚諺』再録)
麻生磯次「戯曲 春香傳 ― 三幕四場」『朝鮮』朝鮮総督府、1922. 8
呂圭亨・中西伊之助「春香傳 ― 廣寒棲記」『女性改造』改造社、1924. 9〜11
細井肇編「春香傳」『朝鮮文学傑作集』奉公会、1924. 11(『通俗朝鮮文庫』再録)
張赫宙「春香傳 ― 六幕十五場」『新潮(5-3)』新潮社、1938. 3
新協劇団公演「朝鮮古譚 春香傳 ― 六幕十一場」築地小劇場、1938. 3. 23〜4. 14
張赫宙『春香傳』新潮社、1938. 4
村山知義「春香傳(シナリオ)― 朝鮮映画会社のために」『文学界』文芸春秋社、1939. 1
張赫宙「春香傳(一)〜(四)」『協和事業(2-7〜2-10)』?、1940. 8・9
河祥號訳「春香傳(春香の傳)」『金融組合(147〜150、152〜156、158)』朝鮮金融組合聨合会、1941. 1〜4、6〜10、12
張赫宙『沈清傳・春香傳』赤塚書房、1941. 2
張赫宙『春香傳』新潮社(新潮文庫)、1941. 7
村山知義脚本、張鳴岩訳、金聖泰作曲「オペラ 春香傳」(公演準備)1944. 3〜45. 8. 15
金海相徳「春香傳」『朝鮮古典物語』盛文堂書店、1944
李殷直『新編 春香伝』極東出版社、1948. 12
許南麒『春香傳』岩波書店(岩波文庫)、1956. 7
李殷直『新編 春香伝』朝鮮文化社、1960. 9
李殷直「春香伝 ― 朝鮮名作物語」『新しい世代』朝鮮青年社、1963. 2
洪相圭訳「春香伝」『韓国古典文学選集 第一巻』大陸書房、1971. 3
寺島アキ子「春香伝」『テアトロ』テアトロ、1972. 5
柳致真「戯曲 春香伝」『アジア公論』韓国国際文化協会、1972. 12
金東旭「韓国文学における「春香伝」」『比較文学研究』朝日出版社、1974. 11
洪相圭訳「春香伝」『韓国古典文学選集 第三巻』高麗書店、1975. 9
宇野秀弥訳『烈女春香守節歌・京版春香伝』自家出版、1978. 8
申在孝(姜漢永・田中明訳注)『パンソリ ― 春香歌・沈睛歌ほか』平凡社(東洋文庫)、1982. 5
塚田満江『半井桃水研究(全)』丸の内出版、1986. 5
西岡健治「桃水野史訳『鶏林情話 春香伝』の原テクストについて」『大谷森繁博士還暦記念朝鮮文学論叢』杉山書店、1992. 2
上垣外憲一『ある明治人の朝鮮観 ― 半井桃水と日朝関係』筑摩書房、1996. 11